大人の科学、真空管工作のラジオを製作

昔、学研の科学には毎号付録がついていたと思うのですが、大人になっても楽しみは変わりません。大人の科学の別冊に、真空管工作というのがありました。電池管1A2を一本使ったラジオを製作できるものですが、スパイダーコイル、バリオメータ、レフレックスなど、当時使われていた技術が盛りだくさんに使われています。このシリーズのキットはネジ止めするだけのものが多いですが、このキットは、スパイダーコイルを自分で巻くことからはじめます。クリスタルイヤフォンからは懐かしい音が聞こえてきます。

画像昔の回路を作ったからといって昔の音が聞こえてくるわけではありませんが、やはり、トランジスタと真空管は音が違うなと実感します。ひとつはクリッピングの具合、また、カップリングコンデンサによる低域カットの具合によるものでしょうか。
このキットは、電池管1A2を一本使い、AMラジオを作るのですが、アンテナは、スパイダー巻きしたコイルを2組作り、それぞれのコイルの角度により相互インダクタンスの変化によりコイル全体のインダクタンスを変化させます。このアンテナコイルとコンデンサによりラジオの放送局に同調を取り受信します。このような相互インダクタンスを変化させてインダクタンスを調整する方法をバリオメータと呼ぶようですが、実際、放送局を受信するために2つのコイルの角度を変化させると、次々と放送局が受かりました。バリオメータは、136kHzのアンテナをマッチングさせるローディングコイルに使われているのを見たことがあったのですが、コイルの角度を変えるだけでインダクタンスがどれだけ変化するかは半信半疑でした。このラジオで実際に同調が取れることで、インダクタンスが変化しているのだと実感することが出来ました。
コイルは、11枚の羽根のついた巻き枠に巻きますが、リッツ線が羽根を交互に通って巻かれることにより、1回目と2回目のリッツ線が重ならず、巻き枠に対して交互にまかれるため、線間容量が減少して同調容量を少なくすることが出来ます。数本の線を束ねたリッツ線(絹巻線)を使うのも同じ理由によるとのことです。

真空管の1A2は、7極管で、周波数変換などの使われるものですが、5極管と同じように結線して使われています。真空管の時代(50~60年前)には、真空管をなるべく使わずに性能のよい回路を作ることが重要でしたが、このキットで使われている回路は、レフレックス回路となっています。同調回路で受信された信号は、真空管で高周波増幅され、その出力はゲルマダイオードで倍電圧検波されます。検波された後の信号は、再び同じ真空管でこんどは低周波増幅されてクリスタルイヤフォンを鳴らします。
当時は、ゲルマダイオードを使うことが出来なかったので、真空管のグリッド検波することが多かったと思いますが、今改めて真空管を使うと、検波にはゲルマダイオードを使うほうが簡単になります。このようなところは、新旧取り混ぜた回路設計になっていると思いますが、その甲斐あってとても良く受信することが出来ます。

電源には、AC電源を使わず、ヒーター用の単2電池(1.5V)と、B電圧用の006Pが3本です。真空管はトランジスタより電圧は高くなりますが、電流は少ないので電池の持ちはよいようです。

画像製作は、1時間ほどで終わりましたが、そのほとんどはアンテナコイル巻きでした。回路は、プリント基板に組み立て済みで、プラスティックのケースにネジ止めするのがおもになります。それでも、スイッチを入れたときに放送局が聴こえてきたのには感激でした。
真空管ラジオでは、再生検波を使うことが多いと思いますが、再生検波では発振寸前に調整するための調整が必要です。このラジオは、レフレックスラジオなので、調整は同調を行なうのみです。再生検波の利点は発振寸前に調整することによって選択度が向上することですが、レフレックスラジオでは、高周波増幅があるので感度は良いが、選択度は同調回路のみなので混信することが良くありました。
昔作った、トランジスタのレフレックスラジオでは、隣の放送局が小さく聴こえていることがありましたが、この真空管ラジオでは、ほとんど混信は感じられませんでした。選択度は、コイルのQによるものなので、スパイダー巻きなどして丁寧に作ったコイルのよさによるものなのかもしれません。

本誌には、付録の製作手順が書かれているだけでなく、真空管やラジオの歴史などが書かれています。さらに、付録を改造して、方向探知機、モールス送信機、1球スーパーにする方法も書かれています。それぞれは、小さなラジオ部品を追加することで、プリント基板のパターンカットや変更などが必要になり、簡単に試してみるというものではありませんが、同じ真空管を使用して、回路を変更することで様々な回路に対応できる一端を示したものと思います。

このラジオは、放送局を聞くために十分に利用できますが、それよりも、当時使われていた回路を色々経験することが出来、また、その形状は、プラスティックではありますが落ち着いた配色となっていて装飾品としても良く出来ています。
ラジオの基礎を改めて知ることが出来ました。



真空管工作 (Gakken Mook 別冊大人の科学マガジン)
学習研究社

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