「スティーブジョブズー偶像復活」東洋経済新報社

スティーブ・ジョブズ-偶像復活
 原題を「iCon Steve Jobs、 The Greatest Second Act in the History of Business」というタイトルで、「iCon」とは、コンピュータのデスクトップの、プログラムを示す小さな画像であるとともに、「偶像」とも訳されます。私にとっては、偶像は、「アイドル」という言葉のほうがわかりやすいのですが、コンピュータ史上での、その役割を象徴しているのがジョブズであると取れます。副題にあるように、第二幕ということから、アップル社を創業したものの、追放されてしまい、苦難の後に返り咲き、苦難のアップルを復活させるということからも、美名で飾らずに、実体をさらけ出しているところに読む価値があると思います。

画像ジョブズが、アップル社を創業し、追放され、返り咲いて、苦難のアップル社を建て直すという筋書きからも判るように、アップル社が危機に陥るような企業としての乱れた状態、あるいは、創業したといっても、自己主張の強く、開発されていたプロジェクトを見つけて自分のものとしてしまうなどによる、トラブルを生むジョブズの性格などをおもてに現した内容となっており、アップル社の成功を、美辞麗句で飾ったいいことずくめの本ではありません。
500ページを越える内容ですが、生い立ちから始まり、創業のきっかけとなる自作クラブなどに触れ、「APPLE][」は、ウォズニアックとジョブズの二人で生み出したのではなく、ユーザー(販売店)の要望から、あのような誰でもが欲しがるものとなっていたことがわかります。
もちろん、ウォズニアックの作った回路はすばらしく、今日でも手に入れば欲しいと思うものですが、基板を作り上げたところで満足してしまっていたように思えます。
ジョブズは、あのすばらしいケースに入れ、スイッチング電源を付け、キーボードと一体にして世に送り出しました。「APPLE][」の魅力の多くはジョブズによって作られていたということです。
現在においては、ジョブズのように、求められている(自分も欲しい)物を、企画し実現し、宣伝販売していく者が求められています。
ウォズニアックのような、簡素で洗練された回路を作り出す技術者は、それには及ばないにしても、代わりは見つかりますが、ジョブズのような者の代わりは簡単には見つからないということでしょう。

マッキントッシュが発売されて、アップル社は、APPLE][から、マッキントシュに主力を移し変えたように思っていましたが、この本によると、マッキントシュプラスあたりになっても、依然売り上げを支えていたのはAPPLE][であったということから、幻想または、宣伝文句に振り回されていたことを知りました。
APPLE][(APPLE//eと書いたほうがいいのか)は、よく出来たコンピュータで、今で言えば、ウィンドウズマシンの中で、MSDOSマシンを使うようなものですが、色々な応用に対して、立派に使うことが出来ました。
一方、マッキントシュは、ゼロックスのパロアルト研究所で見てきたALTOを、ジョブズが同じものを作りたくて、安価に、見掛けが同じように動くものを作ったものだったということで、これはおもちゃを作るようなものです。よく出来たおもちゃは、子供(マックユーザー)の情操を伸ばし、操作法に慣れさせるという効果がありますが、生産的には、何も生み出しません。
当時、マッキントシュプラスになっていたころでさえ、プログラムを実行させようとすると、メモリが不足し、フロッピーでは、プログラムがいっぱいになっていて、何か実行するたびにシステムディスクとの交換を要求するというもので、メモリはフルに実装し、外付けのハードディスクを増設してようやく使えていたものでした。
画面には、ウィンドウが開き、マウスでアイコンを操作することはできましたが、見かけのみをなぞらえたおもちゃでした。

いずれにせよ、実体を知って使うことは、知らずに使うより何倍も有益であり、この本はその意味でも役立ちます。

アップルを離れたジョブズは、NEXT社でも同じようなことをしようとしますが、基本的に、優れた技術を見つけて雇い入れるということで、その基本を作っています。うまくいかなくて、一部の部分が評価されて生き残る場合には、ほとんどがそのような技術です。
多くの、新しい機会にめぐり合い、手を出してみるが苦労は続くようです。

最終的に、ジョブズが活かせるのは、古巣アップル社でしかないということとなります。
苦難から、復活の兆しのあったアップル社へ戻ったジョブズは、ジョブズのやり方で、今日のiPODの躍進へと結び付けたようです。
ジョブズのやり方は、必ずしもいいやり方とはいえないようですが、アップル社という土台が、それを有効に活かせるように出来ているようで、優れたアイデアの技術者が進めるプロジェクトとが多数あり、何か面白いものを出してくれそうなアップルの発表会で、ジョブズが弁舌とともに、新しい製品を発表してくれる。そうゆうスタイルが出来上がっているのです。


APPLE社の製品は、基本的には「おもちゃ」です。別の言い方をすると「ファッション品」でもあり、そのとき楽しめれば、結果は必要ないものです。
10年たって、iPODを使っている人はいないと思います。また、そのころには、バッテリなどが消耗していてつかえないと思います。
そのとき流行っているからいいのであって、何か成果を生み出す必要はないのです。

もし仮に、APPLE社が、ジョブスの考え方で主導されずに、ウォズニアクのような、アイデアを凝らした実用的な回路を売り物にしていたとしたら、違った発展があったのではないかと思います。マックが主流になっても、依然APPLEIIが、売り上げに貢献していたことから、それは可能であったと思います。技術的開発は、次々と新しいものを出していくことは難しく、時間をかけての開発が必要になることから残っていくことは難しいとは思いますが。

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